ブルックナー:交響曲第8番



ブルックナー:交響曲第8番
ブルックナー:交響曲第8番

商品カテゴリー:ミュージック,CD,DVD,クラシック,音楽
収録曲:交響曲第8番 ハ短調(1890年版) 第1楽章:アレグロ・モデラート, 交響曲第8番 ハ短調(1890年版) 第2楽章:スケルツォ(アレグロ・モデラート)&トリオ(ポコ・アンダンテ), 交響曲第8番 ハ短調(1890年版) 第3楽章:アダージョ(荘重にゆっくりと、しかしおそすぎずに), 交響曲第8番 ハ短調(1890年版) 第4楽章:フィナーレ(荘重に速くなく),
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これからブルックナーを聴き始める方には

この名盤には、おそらく長年クラシックに親しまれてきたオールドファンであろう方々の多くの絶賛のレビューが紹介されているが、あえて憎まれ役を承知で一言。確かに、かつて多くの方に愛された演奏なのだろう、とは想像できる。しかし、これから初めてブルックナーを聴こうという初心者の方には、私はおすすめできない。一言で言うと古すぎるのだ。まず録音が古いために、音そのものが今の最新の録音とは比べようもない。そして何より、表現が古い。いや、正確に言えば、こうしたいわゆる「名盤」は過去の伝説的な巨匠の個性が強烈に出過ぎていて、表現がなんというか「濃すぎる」のだ。オーケストラのメンバーの個性や自主性を尊重しながら作り上げる昨今の流れから考えても、どうしても古さを感じざるを得ない。…私も勉強と思ってこの間約10枚のブル8を購入して聴き比べたが、その中でブルックナー初心者には近年録音された秀演の数々、例えばヴァント、ブロムシュテット、ブーレーズ、スクロヴァチェフスキ、朝比奈隆らの最新録音による名演から入ることをおすすめしたい。また、古さを感じさせない名演としてはマタチッチ/N響の84年最後の来日盤がすすめられる(現在入手困難だが)。
名演中の名演

昔からクナッパーツブッシュと並んで名演として評価の高かったもの。本CDは今までより値段が下がり、お買い得感の強いものとなった。ブルックナーの好きな人で、まだこのシューリヒトの演奏を聴いたことのないのなら、良いチャンスだろうと思う。

演奏スタイルは、全編に渡って随分テンポの速い演奏だ。スケールは小さめだが、ウィーン・フィルの芳醇なアンサンブルが聴ける数少ない演奏でもある。指揮者の表現もさることながら、ウィーン・フィルの響きがまたすばらしい。

印象的なのは、速いスケルツォでの意志の強さだ。こんな強い意志力を持った演奏も珍しい。第三楽章のアダージョでの最高のアンサンブルは特筆もの。第四楽章では、場面が次々に変化していく時の有様が目に見えるように分かる。そのくらい理解しやすい分かりやすい演奏だ。しかも全編に渡って愉しさを持っている。

名指揮者シューリヒトの、このブル「8」は数々の評論家が挙って褒めるが、ブル「8」の中で名演であるだけでなく、シューリヒトの全CDの中でも名盤中の名盤であり、またウィーン・フィルの多くのCDの中での名盤中の名盤である。クラシック・ファンを自称する者であるなら、聴いておいて当然のCDとなっている。
武骨なブルックナー

ごつごつした岩肌に真っ白な雪を頂くアルプスの山々のようなブルックナーの交響曲群、その中でもひときわ高く屹立する「交響曲第8番」をシューリヒトで聴ける幸せ。飾り気がなく流麗ともいえないけれど、この武骨さはブルックナーの音楽の本来のものだろう。遠い学生時代、シューリヒトに心酔していた友人からレコードを借りて聞いたブルックナー。当時はブラックディスク2枚で価格も高く、どうしてもスクラッチノイズが気になったが、今ではCD1枚に収まり気軽に聴ける。ありがたい。
シューリヒトの「至高」

 シューリヒトで8番を聴く。おそらくスコアを読み尽くした深い解釈があるのだろう。83歳の老巨匠である、タクトの微妙な振れによる隠された手練れの曲つくりもきっと・・!?
 否、である。耳を傾けるとそうした通俗っぽい「思考の夾雑物」を一切合切、洗い流してしまうような演奏である。リスナーの全神経が音楽に知らぬ間に引きよせられていく。それ以前に、演奏するオーケストラの面々も、もしかしたら同じカタルシスの状況にあるのかも知れない。シューリヒトは一途に、只ひたすらに、ブルックナーの音楽空間にリスナーを連れて行ってくれる音楽の伝道師のようだ。
 クナッパーツブッシュを聴くと桁違いの音の設計スケールの大きさに驚くが、シューリヒトの演奏の「至高」とは、例えばアルプスの山稜を遠望しながら清浄な大気を胸一杯吸い込んでいるような幸福感にひたれるところではないかと思う。精妙かつ快活感ある名演である。



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